中村カズ回顧展 〜 KAZ.NAKAMURA -PEOPLE IN MANHATTAN-

 昨年書いた本ブログ(↓末尾にリンク貼っておきます)をたまたま見てくださり、ご丁寧な手紙でお誘いいただいた写真家・中村カズ氏の回顧展に行ってきました。タイミング悪くお手紙の主のお嬢様とは会えませんでしたが奥様との楽しい会話に時間を忘れ2時間ほども話し込んで、気がつけば閉館時間を過ぎてしまいあ〜もっとじっくり見ておけばよかったと思いながらも充実した時間を過ごせた満足感にひたりながら足取りも軽く下北沢から鎌倉まで帰ってきました。本回顧展、ネットを見る限りほとんど告知らしい告知も広告もされていないようで、あまりにもったいなく下北駅前の若者がたむろっていたカフェに立ち寄りチラシを置かせてもらいました。もちろん珈琲もいただいて。

 会場であるスマートシップギャラリーの紹介文には「1971年、単身ニューヨークに渡り、その翌年から Richard Avedon studio に採用。以後10年余りアヴェドンの活動に寄り添い、ファーストアシスタントやマスタープリンターとして、その信頼も得た写真家………」とありますが本当に仕事を超えたファミリーとしての付き合い、特別な絆があったのだなあと奥様のお話からもその信頼関係が伝わってきました。

アヴェドンを撮ったスナップのような完璧なポートレート。机に突っ伏したアヴェドンが片目でこちらを見ているこの写真はそんな人間関係から生まれたものなのだと納得させられるのです。プリントの美しさはもちろんこの写真界の巨星をとらえた1枚はこれまで数多くの肖像写真を見てきましたがその中でも筆頭です。


 リチャード・アヴェドンは、1944年に『ハーパース・バザー』でデビュー(このあたりのいきさつもおもしろいので別の機会にでも…)後『ヴォーグ』などを経て常に一線級の仕事をしてきた一流の中の一流です。奥様いわく「完璧主義で厳しいけど暖かい」アヴェドンからプリントを任されるほどの信頼を得たカズさんもまた完璧主義でした。僕が某化粧品会社の仕事でご一緒した2004年頃はすでに年季の入ったデジタル使いで、その見たこともないPhotoshopの使い方に驚き、大袈裟な言い方ですがプロとしての怖さを覚えたほどです。彼にとっては銀塩もデジタルも傾ける情熱に変わりはなかったのだと思います。そんなカズ中村の銀塩時代の写真を鑑賞できる貴重な機会です。スナップ、ポートレートは開催中のPART2まで。6月からの「ANOTHER EXHIBITION」では商業ポスターなどがメインとなり文字通りカズさんの「仕事」を見ることができそう。こちらも見に行きたいなあ。

追記:
会場には図録販売もありますが、奥様の久美子さんが書かれた『PAY FOWARD』と題された冊子(A4用紙をホチキスとめしただけの簡素なものですが)をいただきました。日本にも「恩送り」という美しい言葉・考え方があります。実際に恩を受けた人にではなく別の誰かに受けた恩を送るーーーここにこの展示会を開いた奥様の思いが綴られています。

ブログ:アナログはデジタルの反意語か
https://craneport.amebaownd.com/posts/9447323

スマートシップギャラリー(本展紹介記事)
http://www.smart-ship.co.jp/jp/project/2021/04/kaznakamura.html

↑カズ夫人の久美子さん。楽しいお話をありがとうございました!

CranePort DesignPlanning

デザイナー、元カフェのマスター、珈琲豆焙煎士、メンタルヘルスカウンセラー

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