アナログはデジタルの反意語か

大学は国文科、パンキョーの授業も縦書きでノートをとり、読む本のほとんどは右びらき、卒論はもちろん万年筆…という人生の流れの中、ひょんなことからプログラマーになり90年代初頭からは「マルチメディア」という言葉に乗せられてMacを相棒にデジタルとともに歩んできた。それでもレコードが好きで、写真はオールドレンズを北新宿の職人さんに磨きをかけてもらいバルナックライカを使い倒すというメンドクサイ趣味を持っていた。


「アナログ」は辞書的には「デジタル」の反意語だが(愛用の『角川必携国語辞典』にもそうなっている)僕の中ではいつも並行して走っているレールのようだ。デジタルの仕事を始めた時最初に衝撃を受けたのは写真をモニターで見るという新しい物の見方だった。


時は移り実用に耐えるデジタルカメラが登場する。ニコンの一眼にゴツいデジタルのシステムを装着する。50万画素!。1万画素1万円と言われたシステムだ。紙媒体は無理、デジタルメディアならギリというレベルだった。外付けハードディスクとMacを現場に持ち込み撮影をおこなった。撮ったその場で結果が見られることにモデルたちは大喜び。まだまだ撮影は大判フィルムの時代だった。

2000年代に入ると本格的に撮影現場もデジタル化が進み出した。そんなときに写真家の故中村カズさんと仕事をする機会に恵まれた。カズさんはアメリカ時代リチャード・アヴェドンのプリントを任されたほどのキャリアをお持ちだったが帰国後いち早くデジタルに完全移行、Photoshopとカラリオを使いこなし女性誌の表紙を総ナメにした。特に『Oggi』はカズさんの独壇場だった。某化粧品会社のWebの仕事を通じて1年間のお付き合いだったが、撮影の合間に僕のスクリューマウントのレンズをデジカメに装着し「ん〜、スナップならいいね。」なんて話をしながら楽しい時間を過ごした。いくつになっても常に柔軟でいられる姿勢に感銘を受けた。

*下の写真は別の撮影現場を訪問したところ。僕の持ってたAgfa OPTIMA 1035で撮ってもらった(モデルさんの顔は修正しました)


今回リリースしたANALOGシリーズはこのような僕の気持ちを反映したものだ。アナログ的なモチーフが当然ながらデータ作成・入稿〜プリントと一貫したデジタルで作り出される。プリントの品質がとてもよくてフォトプリントもバッチリ。これからも順次リリース予定。少しでも共感いただけると幸いなのです。

CranePort DesignPlanning

デザイナー、元カフェのマスター、珈琲豆焙煎士、メンタルヘルスカウンセラー

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