デミタスの誘惑

珈琲好きも様々ですが「デミタス好き」という方もいらっしゃいます。デミタス(demi tasse)はフランス語で「小さなカップ」(「デミタスカップ」という言葉は「チゲ鍋」みたいなものですが、どうしても使ってしまいますね)。一般的には通常の半分の量に倍の豆を使うので濃さは4倍くらいになります。

深煎りの豆をネルドリップで抽出します。通常の珈琲の抽出の後半は徐々に薄めていく工程でそこも味作りのひとつですが、デミタスはその前に抽出を終わらせる感じです。独特の濃厚な香りとコク、苦味の後に残るほのかな甘み。ブレンドした豆の特徴が見え隠れする複雑な味わいが楽しめます。


ところで日本でよく使われる焙煎の尺度に「フレンチ」というものがあります。8段階あるうちのいちばん濃い「イタリアン」の次にあたりますが、フランスに行った時にフレンチレベルの焙煎に出会うことはありませんでした。エスプレッソにしても中深程度。ロブスタからアラビカ主体になって深煎り自体が少なくなっているのかもしれません。日本は自家焙煎・喫茶店文化の中で深煎りにこだわってきた人たちがいたおかげで今もデミタスを楽しむことができるということでしょう。

深煎り好きな方、ワインもボルドーのしっかりしたフルボディを好まれる方はぜひお試しください。


CranePort DesignPlanning

デザイナー、元カフェのマスター、珈琲豆焙煎士、メンタルヘルスカウンセラー

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